税理士試験 国税徴収法 国税徴収法理論暗記

繰上保全差押【税理士試験・国税徴収法・理論暗記】

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繰上保全差押  概要

税理士試験の国税の保全措置として重要な繰上保全差押です。

繰上保全差押 理論暗記

問題(穴埋め)と回答 繰上保全差押

以下の(A)~(Ag)までの空欄に入る文言を記載しなさい。

1⃣要件(通38①③)
(A)には、税務署長は、その国税の(B)に、(C)(その確定すると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するため、あらかじめ、滞納処分を執行することを要すると認める金額)を決定し、その金額を限度として、(D)(E)ことができる。
(1)納税者が次のいずれかの繰上請求の事実に該当すること
 ①納税者の財産につき(F)が開始されたとき(仮登記担保の実行通知がされたときを含む。)
 ②納税者が死亡した場合において、その(G)をしたとき
 ③法人である(H)したとき
 ④その納める義務が(I)である国税に(J)したとき(信託の併合によって終了したときを除く。)
 ⑤納税者が(K)で、(L)こととなるとき
 ⑥納税者が(M)により(N)、若しくは(O)、若しくは(P)、若しくは(Q)と認められるとき、又は納税者が国税の(R)、若しくは(S)と認められるとき
(2)次に掲げる国税(納付すべき税額が確定したものを除く。)でその(T)においてはその国税の(U)と認められるものがあること
 ①(V)国税(課税資産の譲渡等に係る消費税等を除く。)
 ②(W)課税資産の譲渡等に係る消費税
 ③(X)課税資産の譲渡等についての(Y)消費税

(A)次のすべての要件に該当する場合(B)法定申告期限前(C)繰上保全差押金額(D)その者の財産(E)直ちに差し押さえる(F)強制換価手続(G)相続人が限定承認(H)納税者が解散(I)信託財産責任負担債務(J)国税に係る信託が終了(K)納税管理人を定めない(L)国内に住所及び居所を有しない(M)偽りその他不正の行為(N)国税を免れ(O)免れようとし(P)国税の還付を受け(Q)受けようとした(R)滞納処分の執行を免れ(S)免れようとした(T)確定後(U)徴収を確保することできない(V)納税義務の成立した(W)課税期間が経過した(X)納税義務の成立した(Y)中間申告に係る

2⃣手続(通38④、徴159②)
(1)国税局長の承認(通38④、徴159②準用)
税務署長は、繰上保全差押金額の決定をしようとするときは、あらかじめ、その所属する(Z)を受けなければならない。
(2)繰上保全差押金額の通知(通38④、徴159③準用)
税務署長は、繰上保全差押金額を決定するときは、(a)(b)(c)で通知しなければならない。
(3)繰上保全差押に代わる交付要求(通38④、徴159⑨準用)
繰上保全差押金額を決定した際に、(d)(e)があると認められるときは、税務署長は、(f)をすることができる。
この場合においては、その(g)であることを(h)にしなければならない。

(Z)国税局長の承認(a)繰上保全差押金額(b)納税義務があると認められる者(c)書面(d)差し押えるべき財産(e)不足(f)差押に代えて交付要求(g)交付要求(h)明らか

3⃣効力
(1)税額確定後の効力(徴159⑦)
繰上保全差押又は担保の提供に係る国税につき納付すべき額の(i)は、その(j)又は(k)は、その(l)にされたものと(m)
(2)換価の制限(徴159⑧)
繰上保全差押をした財産は、その差押に係る国税につき納付すべき額の(n)でなければ、(o)
(3)差押金銭の供託(徴159⑩)
税務署長は、(p)(債権等の差押により第三債務者等から給付を受けた金銭を含む。)がある場合において、その差押に係る国税につき納付すべき額の確定がされていないときは、これを(q)しなければならない。

(i)確定があったとき(j)差押(k)担保の提供(l)国税を徴収するため(m)みなす(n)確定があった後(o)換価することができない(p)繰上保全差押をした金銭(q)供託

4⃣差押の制限及び差押、担保の解除
(1)担保の提供(通38④、徴159④準用)
繰り上保全差押金額の通知をした場合において、その納税義務があると認められる者が、その通知に係る繰上保全差押金額に相当する(r)して、その(s)は、徴収職員は、その(t)。
(2)解除を要する場合(徴159⑤)
徴収職員は、次の①又は②に該当するときは、繰上保全差押金額に係る保全差押を、③に該当するときは、保全差押に係る担保をそれぞれ(u)しなければならない。
①繰上保全差押を受けた者が、繰上保全差押金額に係る(v)して、その(w)とき
②繰上保全差押金額の(x)までに、その差押に係る国税につき(y)とき
③繰上保全差押金額の通知をした日から10月を経過した日までに、繰上保全差押金額について提供されている担保に係る国税につき納付すべき額の確定がないとき
(3)解除ができる場合(徴159⑥)
徴収職員は、繰上保全差押を受けた者又は繰上保全差押金額に係る担保を提供した者につき、その(z)により、その(Aa)又は(Ab)と認められることとなったときは、その差押え又は担保を(Ac)

(r)担保を提供(s)差押をしないことを求めたとき(t)差押をすることができない(u)解除(v)担保を提供(w)差押の解除を請求した(x)通知をした日から10月を経過した日(y)納付すべき額の確定がない(z)資力その他の事情の変化(Aa)差押え(Ab)担保の徴取の必要がなくなった(Ac)解除することができる

5⃣損害賠償(徴159⑪)
繰上保全差押に係る国税の納付すべき額として(Ad)(Ae)場合において、その差押を受けた者がその(Af)ときは、国は、その(Ag)
この場合において、その額は、その差押により通常生ずべき損失の額とする。

(H)占有(I)滞納者(J)占有する第三者(K)保管させる(L)占有に係る旨(M)明らかに(N)運行等を許可する場合(Ad)確定をした金額(Ae)繰上保全差押金額に満たない(Af)差押により損害を受けた(Ag)損害を賠償する責に任ずる

繰上保全差押 Q&A

以下の質問は、繰上保全差押についての質問とその回答の事例になります。
<ヤフー知恵袋から抜粋>

Q1 fum********さん
2008/12/29
税金滞納は何ヶ月まで大丈夫?


A1 ベストアンサー 多乃岐4384さん
2009/1/2
多少質問の趣旨からはずれるかもしれませんが、滞納処分としての差押の要件を法的にピックアップしてみたいと思います。

引用している通則法とは「国税通則法」であり、徴収法とは「国税徴収法」です。地方税法にも類似の条文が多数ありますが、引用は省略しました。また、「国税」という表記にしましたが、内容は「地方税」にもあてはまります。

A.「納税義務の成立」(所得税なら暦年の終了、法人税なら事業年度終了)から「法定申告期限」までの期間
繰上請求(後記)の事由が発生した場合において、税額確定後においては徴収確保が困難と認められるときは、滞納処分執行金額を決定し、その金額を限度とする差押が可能となります(通則法38条3項)。これを「繰上保全差押」といいます。

B.「法定申告期限」から「税額の確定」までの期間
納税義務があると認められる者が不正に国税を免かれ、又は国税の還付を受けたことの嫌疑に基き、国税犯則取締法の規定による差押若しくは領置又は刑事訴訟法の規定による押収、領置若しくは逮捕を受けた場合において、税額確定後においては徴収確保が困難と認められるときは、滞納処分執行金額を決定し、その金額を限度とする差押が可能となります(徴収法159条)。これを「保全差押」といいます。

C.「税額の確定」から「納期限」までの期間
以下の1~6のいずれかの事由が発生した場合においては、納期限を繰り上げて請求し、繰上請求期限までに完納されないときは、差押が可能となります(通則法38条1項)。これを「繰上請求」といいます。
1.納税者の財産につき強制換価手続が開始されたとき(仮登記担保契約に関する法律(昭和53年法律第78号)第2条第1項(所有権移転の効力の制限等)(同法第20条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定による通知がされたときを含む。)
2.納税者が死亡した場合において、その相続人が限定承認をしたとき。
3.法人である納税者が解散したとき。
4.その納める義務が信託財産責任負担債務である国税に係る信託が終了したとき(信託法第163条第5号(信託の終了事由)に掲げる事由によつて終了したときを除く。)。
5.納税者が納税管理人を定めないでこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるとき。
6.納税者が偽りその他不正の行為により国税を免れ、若しくは免れようとし、若しくは国税の還付を受け、若しくは受けようとしたと認められるとき、又は納税者が国税の滞納処分の執行を免れ、若しくは免れようとしたと認められるとき。

D.「督促状を発した日」から「督促状を発した日から起算して10日を経過した日」までの期間
繰上請求(前記)の事由が発生した場合には、10日の経過を待たずに直ちに差押が可能となります(徴収法47条2項)。これを「繰上差押」といいます。

E.「督促状を発した日から起算して10日を経過した日」の翌日以降
いつでも差押は可能であり、最もポピュラーな差押です。
何時差押になるのかは一概には申し上げられません。
極めてアバウトに差押の早い順序に並べると、国税→都道府県税→市町村税ということになるでしょう。
市町村の間では、差押に対する温度差は相当あるように見受けられます。但し、最近では税収確保のために積極的に差押を執行する市町村が増加する傾向にあります。

以上A~Eの差押を理論的に区分すると、次のようになります。
A・Bは、納税義務確定前の差押であり、C・D・Eは、納税義務確定後の差押です。
A・B・Cは、督促を要しない差押であり、D・Eは督促を要する差押です。

繰上保全差押 事例(SNSコメント)

ツイッターでも差押の効力について様々なコメントがなされています。

繰上保全差押  国税徴収法・国税通則法

国税徴収法 繰上保全差押

(保全差押え)
第百五十九条 納税義務があると認められる者が不正に国税を免れ、又は国税の還付を受けたことの嫌疑に基づき、国税通則法第十一章(犯則事件の調査及び処分)の規定による差押え、記録命令付差押え若しくは領置又は刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による押収、領置若しくは逮捕を受けた場合において、その処分に係る国税の納付すべき額の確定(申告、更正又は決定による確定をいい、国税通則法第二条第二号(定義)に規定する源泉徴収等による国税についての納税の告知を含む。以下この条において同じ。)後においては当該国税の徴収を確保することができないと認められるときは、税務署長は、当該国税の納付すべき額の確定前に、その確定をすると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するためあらかじめ滞納処分を執行することを要すると認める金額(以下この条において「保全差押金額」という。)を決定することができる。この場合においては、徴収職員は、その金額を限度として、その者の財産を直ちに差し押さえることができる。
2 税務署長は、前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、その所属する国税局長の承認を受けなければならない。
3 税務署長は、第一項の規定により保全差押金額を決定するときは、当該保全差押金額を同項に規定する納税義務があると認められる者に書面で通知しなければならない。
4 前項の通知をした場合において、その納税義務があると認められる者がその通知に係る保全差押金額に相当する担保として国税通則法第五十条各号(担保の種類)に掲げるものを提供してその差押えをしないことを求めたときは、徴収職員は、その差押えをすることができない。
5 徴収職員は、第一号又は第二号に該当するときは第一項の規定による差押えを、第三号に該当するときは同号に規定する担保をそれぞれ解除しなければならない。
一 第一項の規定による差押えを受けた者が前項に規定する担保を提供して、その差押えの解除を請求したとき。
二 第三項の通知をした日から六月を経過した日までに、その差押えに係る国税につき納付すべき額の確定がないとき。
三 第三項の通知をした日から六月を経過した日までに、保全差押金額について提供されている担保に係る国税につき納付すべき額の確定がないとき。
6 徴収職員は、第一項の規定による差押えを受けた者又は第四項若しくは前項第一号の担保を提供した者につき、その資力その他の事情の変化により、その差押え又は担保の徴取の必要がなくなつたと認められることとなつたときは、その差押え又は担保を解除することができる。
7 第一項の規定による差押え又は第四項若しくは第五項第一号の担保の提供があつた場合において、その差押え又は担保の提供に係る国税につき納付すべき額の確定があつたときは、その差押え又は担保の提供は、その国税を徴収するためにされたものとみなす。
8 第一項の規定により差し押さえた財産は、その差押えに係る国税につき納付すべき額の確定があつた後でなければ、換価することができない。
9 第一項の場合において、差し押さえるべき財産に不足があると認められるときは、税務署長は、差押えに代えて交付要求をすることができる。この場合においては、その交付要求であることを明らかにしなければならない。
10 税務署長は、第一項の規定により差し押さえた金銭(有価証券、債権又は無体財産権等の差押えにより第三債務者等から給付を受けた金銭を含む。)がある場合において、その差押えに係る国税につき納付すべき額の確定がされていないときは、これを供託しなければならない。
11 第一項に規定する国税の納付すべき額として確定をした金額が保全差押金額に満たない場合において、その差押えを受けた者がその差押えにより損害を受けたときは、国は、その損害を賠償する責めに任ずる。この場合において、その額は、その差押えにより通常生ずべき損失の額とする。

国税通則法 繰上保全差押

(繰上請求)
第三十八条 税務署長は、次の各号のいずれかに該当する場合において、納付すべき税額の確定した国税(第三号に該当する場合においては、その納める義務が信託財産責任負担債務であるものを除く。)でその納期限までに完納されないと認められるものがあるときは、その納期限を繰り上げ、その納付を請求することができる。
一 納税者の財産につき強制換価手続が開始されたとき(仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)第二条第一項(所有権移転の効力の制限等)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定による通知がされたときを含む。)。
二 納税者が死亡した場合において、その相続人が限定承認をしたとき。
三 法人である納税者が解散したとき。
四 その納める義務が信託財産責任負担債務である国税に係る信託が終了したとき(信託法第百六十三条第五号(信託の終了事由)に掲げる事由によつて終了したときを除く。)。
五 納税者が納税管理人を定めないでこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるとき。
六 納税者が偽りその他不正の行為により国税を免れ、若しくは免れようとし、若しくは国税の還付を受け、若しくは受けようとしたと認められるとき、又は納税者が国税の滞納処分の執行を免れ、若しくは免れようとしたと認められるとき。
2 前項の規定による請求は、税務署長が、納付すべき税額、その繰上げに係る期限及び納付場所を記載した繰上請求書(源泉徴収等による国税で納税の告知がされていないものについて同項の規定による請求をする場合には、当該請求をする旨を付記した納税告知書)を送達して行う。
3 第一項各号のいずれかに該当する場合において、次に掲げる国税(納付すべき税額が確定したものを除く。)でその確定後においては当該国税の徴収を確保することができないと認められるものがあるときは、税務署長は、その国税の法定申告期限(課税標準申告書の提出期限を含む。)前に、その確定すると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するため、あらかじめ、滞納処分を執行することを要すると認める金額を決定することができる。この場合においては、その税務署の当該職員は、その金額を限度として、直ちにその者の財産を差し押さえることができる。
一 納税義務の成立した国税(課税資産の譲渡等に係る消費税を除く。)
二 課税期間が経過した課税資産の譲渡等に係る消費税
三 納税義務の成立した消費税法第四十二条第一項、第四項又は第六項(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての中間申告)の規定による申告書に係る消費税
4 国税徴収法第百五十九条第二項から第十一項まで(保全差押え)の規定は、前項の決定があつた場合について準用する。この場合において、同条第五項中「六月」とあるのは、「十月」と読み替えるものとする。


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