財産の差押え 概要
財産の差押えは、徴収職員が滞納者の特定の財産の処分を禁止して、換価できる状態にするための強制的な処分です。
差押、換価、配当を総称して「滞納処分」といいますが、この滞納処分に関わる項目は国税徴収法の試験でも最重要箇所になります。
財産の差押え 理論暗記
問題(穴埋め)と回答 財産の差押え
以下の❶~㉑までの空欄に入る文言を記載しなさい。
1⃣差押えの対象財産
差押えができる財産は、差押えを行う時点で次の要件のすべてに該当しなければならない。
(1)財産が徴収法施行地内にあること
(2)財産が滞納者に帰属していること
(3)財産が金銭的価値を有すること
(4)財産が譲渡又は取立てができるものであること
(5)財産が差押禁止財産でないこと
2⃣一般の差押禁止財産(徴収法75条)
次に掲げる財産は、(❶)。
(1)(❷)
①(❸)及びその者と(❹)の(❺)衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
(2)(❻)
①主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
②主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
③技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者((2)①及び②に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
④実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
(3)(❼)
①仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため書くことができない物
②滞納者に必要な系譜、日記及びこれに類する書類
③滞納者又はその親族が受けた勲章その他名誉の章票
(4)(❽)
①滞納者又はその者と生計を一にする親族の学習に必要な書籍及び器具
②発明又は著作に係るもので、まだ公表していないもの
③滞納者又はその者と生計を一にする親族に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
は器具、避難器具その他の製品
④建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため一定の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の製品
❶差し押えることができない❷滞納者及び親族の最低限生活の保障のための生活用具❸滞納者❹生計を一にする親族❺生活に欠くことができない❻滞納者が仕事をするためどうしても必要なもの❼滞納者の精神的文化的生活の尊重のためのもの❽社会保障制度の維持等のためのもの
3⃣条件付差押禁止財産(狭義の差押禁止財産)(徴収法78条)
次に掲げる財産(2⃣(2)①から③までの財産を除く)は、滞納者がその(❾)を(➓)財産で、(⓫)、かつ、(⓬)を提供したときは、滞納者の(⓭)により、(⓮)ものとする。
(1)農業に必要な機械、器具、家畜類、飼料、種子その他の農産物、肥料、農地及び採草放牧地
(2)漁業に必要な漁網その他の漁具、えさ、稚魚その他の水産物及び漁船
(3)職業又は事業(上記(1)、(2)の事業を除く)の継続に必要な機械、器具その他の備品及び原材料その他たな卸をすべき資産
❾国税の全額➓徴収することができる⓫換価が困難でなく⓬第三者の権利の目的となっているないもの⓭選択⓮差押をしない
4⃣給与の差押禁止(徴収法76条)
給料等については、(⓯)は、差し押えることが(⓰)。
この場合において、滞納者が同一の期間につき二以上の給料等の支払を受けるときは、その合計額につき、最低生活保障額及び対面維持費に掲げる金額に係る限度を計算するものとする。
⓯一定額に達するまでの部分の金額⓰できない
5⃣社会保障制度に基づく給付の差押禁止(徴収法77条)
社会保障制度に基づき支給される退職年金、老齢年金、普通恩給、休業手当金及びこれらの性質を有する給付に係る債権は給料等と、退職一時金、一時恩給及びこれらの性質を有する給付に係る債権は退職手当等とそれぞれみなして、4⃣の規定を適用する。
6⃣差押財産の選択
(1)超過差押の禁止(徴収法48条①)
国税を徴収するために(⓱)は、差し押えることができない。
(2)無益な差押の禁止(徴収法48②)
(⓲)の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の(⓳)は、その財産は、差し押えることが(⓴)
(3)第三者の権利の尊重(徴収法49)
徴収職員は、滞納者(譲渡担保権者を含む。)の財産を差し押えるに当っては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき(㉑)。
⓱必要な財産以外の財産⓲差し押えることができる財産⓳合計額を超える見込がないとき⓴できない㉑第三者が有する権利を害さないように努めなければならない
財産の差押え Q&A
以下の質問は、財産の差押えについての質問とその回答の事例になります。
<ヤフー知恵袋から抜粋>
Q1 wqx********さん
2019/9/2 15:39
国保を4ヶ月分滞納しており、先日役所から差押調書謄本が届きました。
書類に記載されている差押財産以外(例えば配偶者の口座)の財産は差押えられないですよね?
記載されてる通り、滞納者の口座だけですよね?
A1 ベストアンサー 多乃岐4384さん
2019/9/2 17:22
そのとおりです。国税徴収法基本通達 第47条関係 差押えの要件にも「5 差押えの対象となる財産は、差押えをする時に滞納者に帰属しているものでなければならない(20参照)。」と記載されています。
財産の差押え 事例(SNSコメント)
ツイッターでも滞納処分の執行停止について様々なコメントがなされています。
換価の猶予
— 笑顔 (@okNvSfxDM4dcvDO) February 4, 2021
すでに差し押さえされている財産
あるいは今後差し押さえの対象となりうる財産の
換価処分(公売)を
一定の要件に該当した場合に猶予し
分納を認めるという制度
この制度は 国税の他自治体の税にも有ります pic.twitter.com/JiaDm7HiBn
夜分に失礼します。
— 益たこ(ますたこ) (@Masutako2020) January 21, 2021
本日市役所から重要な手紙が届いてました。ビックリ😱して至急開封したら12月末期限の税金の納付を忘れてました😵申し訳ありません🙇
納税は義務急ごう🙇10日以内に払わないと財産差押え🙇
うっかりで済まないことがある🙇本当色々と気を付けよう🙇
コロナで猶予の相談出来るのか🤔 pic.twitter.com/onxD8bmFxe
転売ヤーが追徴課税払えないとどうなるんだろ、って思って調べてみた。https://t.co/TKn9lJLYkF
— タツキチ@ノウム・カルデア (@tatsutatsukichi) December 1, 2020
「税務調査を行った時の追徴課税は一括払いが基本」
「事前に申請すれば猶予制度を活用できるが免税や減額は無し」
「支払いができないと、最悪の場合は財産の差し押さえ(強制執行)がされることも」
財産の差押え 国税徴収法・国税通則法
国税徴収法
第六款 差押禁止財産
(一般の差押禁止財産)
第七十五条 次に掲げる財産は、差し押えることができない。
一 滞納者及びその者と生計を一にする配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係にある者を含む。)その他の親族(以下「生計を一にする親族」という。)の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 滞納者及びその者と生計を一にする親族の生活に必要な三月間の食料及び燃料
三 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
四 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
五 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
六 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
七 仏像、位牌はいその他礼拝又は祭祀しに直接供するため欠くことができない物
八 滞納者に必要な系譜、日記及びこれに類する書類
九 滞納者又はその親族が受けた勲章その他名誉の章票
十 滞納者又はその者と生計を一にする親族の学習に必要な書籍及び器具
十一 発明又は著作に係るもので、まだ公表していないもの
十二 滞納者又はその者と生計を一にする親族に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十三 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
2 前項第一号(畳及び建具に係る部分に限る。)及び第十三号の規定は、これらの規定に規定する財産をその建物その他の工作物とともに差し押えるときは、適用しない。
(給与の差押禁止)
第七十六条 給料、賃金、俸給、歳費、退職年金及びこれらの性質を有する給与に係る債権(以下「給料等」という。)については、次に掲げる金額の合計額に達するまでの部分の金額は、差し押えることができない。この場合において、滞納者が同一の期間につき二以上の給料等の支払を受けるときは、その合計額につき、第四号又は第五号に掲げる金額に係る限度を計算するものとする。
一 所得税法第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)、第百九十条(年末調整)、第百九十二条(年末調整に係る不足額の徴収)又は第二百十二条(非居住者等の所得に係る源泉徴収義務)の規定によりその給料等につき徴収される所得税に相当する金額
二 地方税法第三百二十一条の三(個人の市町村民税の特別徴収)その他の規定によりその給料等につき特別徴収の方法によつて徴収される道府県民税及び市町村民税に相当する金額
三 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百六十七条第一項(報酬からの保険料の控除)その他の法令の規定によりその給料等から控除される社会保険料(所得税法第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料をいう。)に相当する金額
四 滞納者(その者と生計を一にする親族を含む。)に対し、これらの者が所得を有しないものとして、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第十二条(生活扶助)に規定する生活扶助の給付を行うこととした場合におけるその扶助の基準となる金額で給料等の支給の基礎となつた期間に応ずるものを勘案して政令で定める金額
五 その給料等の金額から前各号に掲げる金額の合計額を控除した金額の百分の二十に相当する金額(その金額が前号に掲げる金額の二倍に相当する金額をこえるときは、当該金額)
2 給料等に基き支払を受けた金銭は、前項第四号及び第五号に掲げる金額の合計額に、その給料等の支給の基礎となつた期間の日数のうちに差押の日から次の支払日までの日数の占める割合を乗じて計算した金額を限度として、差し押えることができない。
3 賞与及びその性質を有する給与に係る債権については、その支払を受けるべき時における給料等とみなして、第一項の規定を適用する。この場合において、同項第四号又は第五号に掲げる金額に係る限度の計算については、その支給の基礎となつた期間が一月であるものとみなす。
4 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権(以下「退職手当等」という。)については、次に掲げる金額の合計額に達するまでの部分の金額は、差し押えることができない。
一 所得税法第百九十九条(退職所得に係る源泉徴収義務)又は第二百十二条の規定によりその退職手当等につき徴収される所得税に相当する金額
二 第一項第二号及び第三号中「給料等」とあるのを「退職手当等」として、これらの規定を適用して算定した金額
三 第一項第四号に掲げる金額で同号に規定する期間を一月として算定したものの三倍に相当する金額
四 退職手当等の支給の基礎となつた期間が五年をこえる場合には、そのこえる年数一年につき前号に掲げる金額の百分の二十に相当する金額
5 第一項、第二項及び前項の規定は、滞納者の承諾があるときは適用しない。
(社会保険制度に基づく給付の差押禁止)
第七十七条 社会保険制度に基づき支給される退職年金、老齢年金、普通恩給、休業手当金及びこれらの性質を有する給付(確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第三十八条第一項(老齢給付金の支給方法)の規定に基づいて支給される年金、確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)第三十五条第一項(老齢給付金の支給方法)(同法第七十三条(企業型年金に係る規定の準用)において準用する場合を含む。)の規定に基づいて支給される年金その他政令で定める退職年金を含む。)に係る債権は給料等と、退職一時金、一時恩給及びこれらの性質を有する給付(確定給付企業年金法第三十八条第二項の規定に基づいて支給される一時金及び同法第四十二条(脱退一時金の支給方法)の規定に基づいて支給される脱退一時金、確定拠出年金法第三十五条第二項(同法第七十三条において準用する場合を含む。)の規定に基づいて支給される一時金その他政令で定める退職一時金を含む。)に係る債権は退職手当等とそれぞれみなして、前条の規定を適用する。
2 前項に規定する社会保険制度とは、次に掲げる法律に基づく保険、共済又は恩給に関する制度その他政令で定めるこれらに類する制度をいう。
一 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)
二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)
三 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)
四 恩給法(大正十二年法律第四十八号)(他の法律において準用する場合を含む。)
五 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)
六 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)
七 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)
(条件付差押禁止財産)
第七十八条 次に掲げる財産(第七十五条第一項第三号から第五号まで(農業等に欠くことができない財産)に掲げる財産を除く。)は、滞納者がその国税の全額を徴収することができる財産で、換価が困難でなく、かつ、第三者の権利の目的となつていないものを提供したときは、その選択により、差押をしないものとする。
一 農業に必要な機械、器具、家畜類、飼料、種子その他の農産物、肥料、農地及び採草放牧地
二 漁業に必要な漁網その他の漁具、えさ、稚魚その他の水産物及び漁船
三 職業又は事業(前二号に規定する事業を除く。)の継続に必要な機械、器具その他の備品及び原材料その他たな卸をすべき資産
(超過差押及び無益な差押の禁止)
第四十八条 国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。
(差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重)
第四十九条 徴収職員は、滞納者(譲渡担保権者を含む。第七十五条、第七十六条及び第七十八条(差押禁止財産)を除き、以下同じ。)の財産を差し押えるに当つては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき第三者が有する権利を害さないように努めなければならない。