不動産鑑定士

収益還元法をわかりやすく解説

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不動産の評価額を算出する時に、用いられる収益還元法について、わかりやすく解説していきます。

こんな方におすすめ

  • 収益還元法による収益価格とはどういう価格か知りたい。
  • 収益還元法が使われる場面はどういう時か。
  • 収益還元法と他の手法との違いは。

収益還元法とは

収益還元法は不動産の収益性に着目して、不動産が将来生み出す純収益から不動産の価格を求める手法です。
その不動産のもつ収益力から算出する価格になるので、投資家目線の価格でもあります。

わかりやすくざっくりいうと、その不動産を貸出した時に、入ってくる家賃収入と利回りから、不動産の価格を求めることになります。

この収益還元法によって求められた価格を収益価格といいます。

例えば、2LDKのマンションを貸出したとして、1か月10万円の家賃収入が入ってくるとします。
そうすると年間の家賃収入は120万円になります。
そしてマンションにかかる経費が年間で20万円だとします。

そうすると年間の純収益は100万円になります。

そしてその地域で取引されている、同じようなマンションの利回りが5%だとします。

そうすると、純収益100万円÷利回り5%=収益価格2000万円

と算出することができます。


この純収益を利回りで割り戻して価格を求める手法が、収益還元法ということになります。

不動産鑑定評価基準 総論第7章 
Ⅳ 収益還元法
収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を収益価格という。)。
収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。

収益還元法還元法が用いられる場面

金融機関が不動産投資の融資の審査や、担保評価の場面,で活躍する手法です。
逆に投資家としては、物件の選定にあたり、購入する不動産の価格が収益力に見合っている価格かを判断するために活用します。

バブル時などは、急激に需要が高まるため市場に出回っている不動産の価格も高騰します。
そのため、同じような不動産の取引価格から不動産の価格を求める手法である取引事例比較法の価格は、つられて高騰しやすいです。

一方で収益還元法による価格は、不動産の収益力から求めるので、価格変動が激しい時期でも、比較的安定して求めることができます。
というのも不動産の価格に比べて賃料は変動しづらいという特性があるためです。

例えば、賃貸で毎月賃料を払っていたとしても、世の中がバブルで不動産の価格が上がっているからといっても賃料は上げずらいですよね。

これが、不動産の価格に比べて賃料は変動が緩やかで後から遅れて価格についてくるという『賃料の粘着性』という特性です。

こうした特性をもつ賃料をベースに価格を求めるのが収益還元法による収益価格ということになります。

その他では、J-REITの物件の価格を求める時も、この収益還元法による収益価格が重視されます。
J-REITの物件の物件とは、不動産投資信託により、多くの投資家から小口資金を集めて、巨大な商業ビルを運用しているような物件です。

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リート物件とよく言われますよね。
代表的なビルと言えば森ビルなどですよね。森ヒルズリート投資法人の銘柄を証券会社の口座を開設すれば個人投資家として購入することができます。
リート銘柄は配当利回りが4~5%と高いのが特徴です。
リート物件は、身の回りに多く存在しています。

投資家は、どれだけその不動産から収益が得られるかを重視するので、この収益還元法による収益価格を重視して見ます。
また、上場銘柄として取引されていますので、鑑定評価格もIRとして公開されていて見ることができます。
個人投資家として、リート物件の銘柄を探して収益価格をみるのも、勉強にもなり面白いかもしれませんね。

収益還元法と取引事例比較法、原価法との比較

収益還元法を他の2つの手法と比較して表にまとめると以下のようになります。

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収益還元法をわかりやすく解説まとめ

収益還元法は、収益性に着目して不動産から得られる賃料収入と利回りから不動産の価格を求める手法ということが大きな特徴です。
賃料収入から価格を求めるので、価格変動期においても比較的安定して不動産の価格を求めることができます。

活用される場面として、金融機関の融資、担保評価、リート物件などで多く活用されています。
また個人投資家として不動産投資する際の、物件選定にあたりこの収益還元法が用いられます。


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